彼氏に一方通行
「けど……。そんなキューピーちゃんみたいな身体に欲情して、ビンビン張り切ってる俺の下半身に、もっと萎える」

そう続けて、田所は照れ臭そうに苦笑した。


「え? 田所……ええっ? じゃあなんで……」

「お前に『エッチの時だけ優しい』とか散々言われたからだよ。だから、そういうの無しで、ほのかに優しくしようって思った。けど、無理だった。それどころか、ほのかを傷付けてたんだよな? ……ごめん」


そうだったんだ、田所。


というか――

元はと言えば、私が播いた種だったのか。自分で自分の首を絞めたのか、私は。



「エッチの時だけ優しければ充分です」

泣きぬれたぐしゃぐしゃの顔のまま、それでもキッパリと言い切った。



田所はプッと吹き出して、

「ん、そうする」

笑い混じりにそう言った。


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