彼氏に一方通行
6
『泊まってく?』
って聞かれたらさー、当然、そういうこと期待しちゃうよねー?
なのに――
心躍らせながらお風呂から上がった私が目にしたものは、ベッドの上で屍のように眠る田所だった。
しまった、しくじった。田所に先にお風呂、入らせるんじゃなかった。
激しく後悔したって、時、既に遅し。
「田所……」
どうしても諦めきれなくて。ベッドの傍らまで行き、田所の身体を揺すりながら呼んでみた。
そしたら、ピクッと肩を小さく跳ねさせ、
「だからいつも言ってんだろ? ドラ●モンばっかに頼るなって!」
と、田所はボソボソと意味不明な言葉を発する。
へぇ……。いつもそんなこと言ってんだー。
――って。寝言かよ、くそっ。