彼氏に一方通行
「いやっ」

「何故?」

「こんなにも近くに愛しい田所が居るのに、引っ付いちゃダメなんて拷問じゃん!」

「なら遠くへ行け。部屋の隅っことか? あっついんだって。暑くて、俺、死にそう。お願い、ほのかちゃん」

「あっついならエアコン付ければいいじゃん」

「てめ……。来月ファンタジーな額の電気代請求、来るだろーが! ふざけんな」



もう、本当に田所は――

ああ言えばこう言うー!


バカのくせに。バカのくせに。(大事なことなので二回言いました。)



至近距離で向かい合ったまま、田所の首にしがみ付いたまま、ぶくぅと膨れて上目使いで睨みつけた。


そしたら、田所が少しだけ上体を前倒して二人の身体が密着。嬉しくてぎゅうーっと抱き付いたら、フワリ、私の身体が宙に浮いた。


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