彼氏に一方通行
「あっついから、してくれないの? 涼しくなったら、してくれる?」

ベッドの上で、きちんと正座に座り直し、田所を見上げて問う。


「何を?」

田所はそう聞き返し、渋々といった感じでベッドサイドに腰を落とした。そうして、振り返って私を見る。



「エッチ」


簡潔に、要点だけを伝えた。これ、質疑応答の基本です。



「何、お前? したいの?」

「当たり前じゃん! もうどんだけしてないと思ってるんですかー! 田所さんよぉー!」

「それ、何キャラ?」


田所は、心底呆れ果てたと言わんばかりの苦笑をその顔に浮かべた。



そして、冷ややかに目を細めて更に続けた。


「よっしゃ、わかった。そんなに言うなら――

自分で脱げ」



きゅうーん。

胸の奥で変な音が鳴った。


< 8 / 59 >

この作品をシェア

pagetop