彼氏に一方通行
この状況でときめくとか、私ってば、どうかしている。けれど、意地悪く微笑む完璧に整った顔は、私の頭の中を容赦なくグラグラ揺さぶるんだから仕方がない。


心臓なんか、破裂しそうなぐらいバクバクと早鐘を打つ。



もう……、私の彼、格好良過ぎでしょう?

キュン死しちゃうでしょう?



「承知いたしました、ご主人様。でも脱いだのに、もし抱いてくれなかったら、そこの窓の前に全裸で仁王立ちするからね」

しっかり脅し文句も添えて頷き、着ているTシャツの裾を両手で掴んだ。


「待て待て待て待て!」

慌てふためいて、田所が私の両腕をガシと掴みそれを制す。どうしてよ?



「冗談だって。冗談に決まってんだろ? する時は俺が脱がす、絶対にっ。俺の楽しみ奪うんじゃねー」


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