ひとまわり、それ以上の恋
「僕は、プライマリーの入社説明会以前に、君に会ったことがある」

「え……?」

 一体いつのことを言っているのだろう、と考えていると、市谷さんは続けて言った。

「その時君はまだ中学生だった。いや、僕はもっとずっと前から、君のことを知っていたんだ」と。

「私が……中学生。そのずっと前から?」

 市ヶ谷さんは静かに頷く。

 一体、どういうことなのだろう。

 どこか自分では触れられない深いところの神経が疼くような、そんな胸騒ぎがした。








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