ひとまわり、それ以上の恋
「俺にも兄貴がいるんだ。実は次男がここでバーテンダーやってる。今日は休みのようだけど」
「あ、そうなんですね。会ってみたかった」
お酒が手伝っているからか、沢木さんが話上手なのか、さっきまで沈んでいた気持ちが少しだけ楽になった。
「優羽とは会ったんだよね」
「あ、はい。優羽さんがデザイナーさんだなんて、びっくりしました」
「兄貴が、菊池さんのこと可愛いって言ってたよ。話も合うし、ああいう子いいなって」
「ホントですか?」
優羽さん、そんな風に私のこと見てるような感じじゃなかったのに。
「先に口説かれたらたまらないと思って、実は焦ってたんだよね、俺」
急に真顔になられて、私の方が焦る。なんだか違う雰囲気に変わってしまいそうで。
「もう、そんなこと言って。沢木さんはモテてるでしょう? たくさん女の子がいるって……聞いてますよ?」
「菊池さんのような子を好きになるのは、初めてだよ」
「……私のような子。私って、どんな風に映ってるんでしょうか」
「いつでも一生懸命で、瞳がキラキラしてて、笑うと可愛くて……目が離せないような感じ。気づいたら目で追うようになって、好きになってた」
沢木さんの瞳に映る私は、そんなに魅力的なの? こんなコンプレックスの塊の私でも、好きって言ってくれるの?
「沢木さんには悪いですけど……私、自分に自信がないんです。男の人とも付き合ったことないし、好きって言ってもらえるようなタイプじゃないと思うし」
「そんな風に卑下したりするなよ。自分が一番に好きになってやらなくちゃ、誰が好きになれるって? 少なくとも、俺はちゃんと魅力を感じてるよ。兄貴もそう思ってるから、円香ちゃんのこと心配してるんじゃない?」
「沢木さん……」
好き、と飾らないで言える人は、羨ましい。
私は、あんな風にしか、市ヶ谷さんにぶつけられなかった。
「あ、そうなんですね。会ってみたかった」
お酒が手伝っているからか、沢木さんが話上手なのか、さっきまで沈んでいた気持ちが少しだけ楽になった。
「優羽とは会ったんだよね」
「あ、はい。優羽さんがデザイナーさんだなんて、びっくりしました」
「兄貴が、菊池さんのこと可愛いって言ってたよ。話も合うし、ああいう子いいなって」
「ホントですか?」
優羽さん、そんな風に私のこと見てるような感じじゃなかったのに。
「先に口説かれたらたまらないと思って、実は焦ってたんだよね、俺」
急に真顔になられて、私の方が焦る。なんだか違う雰囲気に変わってしまいそうで。
「もう、そんなこと言って。沢木さんはモテてるでしょう? たくさん女の子がいるって……聞いてますよ?」
「菊池さんのような子を好きになるのは、初めてだよ」
「……私のような子。私って、どんな風に映ってるんでしょうか」
「いつでも一生懸命で、瞳がキラキラしてて、笑うと可愛くて……目が離せないような感じ。気づいたら目で追うようになって、好きになってた」
沢木さんの瞳に映る私は、そんなに魅力的なの? こんなコンプレックスの塊の私でも、好きって言ってくれるの?
「沢木さんには悪いですけど……私、自分に自信がないんです。男の人とも付き合ったことないし、好きって言ってもらえるようなタイプじゃないと思うし」
「そんな風に卑下したりするなよ。自分が一番に好きになってやらなくちゃ、誰が好きになれるって? 少なくとも、俺はちゃんと魅力を感じてるよ。兄貴もそう思ってるから、円香ちゃんのこと心配してるんじゃない?」
「沢木さん……」
好き、と飾らないで言える人は、羨ましい。
私は、あんな風にしか、市ヶ谷さんにぶつけられなかった。