ひとまわり、それ以上の恋
◆4、大人の余裕
整髪料のつけていない崩れた髪や、起きぬけの無防備な雰囲気は、やたら色っぽく、
左右対称の二重から覗く瞳は、カーテンから零れてくる陽の光をうけて、まるで紅茶のような色に染まる。
何色、とも説明のつかない……彼だけのためにあるキレイな色。
「あ、あの……」
見惚れてしまって、動けないのと。
爆弾のようにバクバクと鳴っている心臓のせいで、声が出ないのと。
私の頭の中はパニックだ。