ひとまわり、それ以上の恋
ブラインドから零れる光で、梢が揺れているのが真っ白なテーブルに映ってる。
出社時刻はこれから1時間後くらい。
市ヶ谷さんがシャワーを浴びている間、私はどうしていいか分からなくて。もうちょっと要領よく、ちゃんと聞いていればよかった。
また裸で戻ってきたらどうしよう……と要らぬ心配をしていた私だけど。
さっぱりとさせて戻ってきた彼は、パリッとしたYシャツにネクタイを慣れたように締めていて、仕事のデキる男の人っていうか、とにかく品格があった。
兄ので見慣れているはずなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。ネクタイを掴む手、その仕草の一つずつが、いちいち様になっていて格好いい。
目と目が合って、ドキっとする。見惚れてる場合じゃない。
あとは何をすればいいの? 新聞を渡してあげたりとか? 朝食を作ったりとか?