ひとまわり、それ以上の恋

 ブラインドから零れる光で、梢が揺れているのが真っ白なテーブルに映ってる。

 出社時刻はこれから1時間後くらい。

 市ヶ谷さんがシャワーを浴びている間、私はどうしていいか分からなくて。もうちょっと要領よく、ちゃんと聞いていればよかった。

 また裸で戻ってきたらどうしよう……と要らぬ心配をしていた私だけど。

 さっぱりとさせて戻ってきた彼は、パリッとしたYシャツにネクタイを慣れたように締めていて、仕事のデキる男の人っていうか、とにかく品格があった。

 兄ので見慣れているはずなのに、どうしてこんなにドキドキするんだろう。ネクタイを掴む手、その仕草の一つずつが、いちいち様になっていて格好いい。

 目と目が合って、ドキっとする。見惚れてる場合じゃない。
 
 あとは何をすればいいの? 新聞を渡してあげたりとか? 朝食を作ったりとか?





< 27 / 139 >

この作品をシェア

pagetop