ひとまわり、それ以上の恋
「仕事の出来る人は女子の憧れです。私も早く先輩みたいに自然に振舞えるようになりたい」
高梨さんが頬を染めながら言う。
「そのうち自然になるさ」
沢木さんがフォローしたあとも、高梨さんは沢木さんと話したそうだった。けれど、沢木さんは私の傍から離れない。
「ねぇ、菊池さんは、アシュレイに行くのは初めて? 割とここの社員には人気なんだよ」
アシュレイ、というところで飲み会するんだ。情報がまだ何もないのでとりあえず合わせることにする。
「あ、はい……どんなところなんですか?」
「外国人バーでさ、そこのバーテンがイイ腕してて、カクテルがうまい。よかったら、菊池さんにもおススメ教えてあげるよ」
男の人との会話というのがいまいち分からなかった私がグズグズしているうちに、女子社員がお手洗いから戻ってきたみたいで一気ににぎやかになる。
「お、来たね。華やかな女子たちが」
私の小さな身体は人の波に押されてしまいそうになって、沢木さんに肩を抱かれ、びっくりした。
「大丈夫?」
「きゃっあの……」
「あ、何、ごめん。そーいうつもりじゃなかったんだけど」
「……わ、私こそごめんなさい。スーツが……」
鼻のてっぺんが油浮きしていたせいでファンデーションがくっついてしまった。
「……ああ、いいよ、もう仕事は終わりなんだし。それより菊池さんて」
と沢木さんは言いかけて私を見る。
……ヘンな子だと思われたかな。ビクビクしていると、なんだか笑われてしまった。
高梨さんが頬を染めながら言う。
「そのうち自然になるさ」
沢木さんがフォローしたあとも、高梨さんは沢木さんと話したそうだった。けれど、沢木さんは私の傍から離れない。
「ねぇ、菊池さんは、アシュレイに行くのは初めて? 割とここの社員には人気なんだよ」
アシュレイ、というところで飲み会するんだ。情報がまだ何もないのでとりあえず合わせることにする。
「あ、はい……どんなところなんですか?」
「外国人バーでさ、そこのバーテンがイイ腕してて、カクテルがうまい。よかったら、菊池さんにもおススメ教えてあげるよ」
男の人との会話というのがいまいち分からなかった私がグズグズしているうちに、女子社員がお手洗いから戻ってきたみたいで一気ににぎやかになる。
「お、来たね。華やかな女子たちが」
私の小さな身体は人の波に押されてしまいそうになって、沢木さんに肩を抱かれ、びっくりした。
「大丈夫?」
「きゃっあの……」
「あ、何、ごめん。そーいうつもりじゃなかったんだけど」
「……わ、私こそごめんなさい。スーツが……」
鼻のてっぺんが油浮きしていたせいでファンデーションがくっついてしまった。
「……ああ、いいよ、もう仕事は終わりなんだし。それより菊池さんて」
と沢木さんは言いかけて私を見る。
……ヘンな子だと思われたかな。ビクビクしていると、なんだか笑われてしまった。