ひとまわり、それ以上の恋
「ミシェル、君からしたら僕はオジさんだよね」

「そのオジさん相手に、心をもっていかれそうになったことは否定しないわ。あなたらしくないのね。今度の相手は本気?」

「いや、父親ぐらいの年齢の男に欲情するって……女性の心理が理解できなかっただけさ。逆は……あっても」

 最後に付け加えたところは、うまいように流して欲しい、と思う。ミシェルは真剣にそうね……と相談に乗る気のようだ。

「年上の男性に憧れるということはあると思うわ。兄や父のような存在に癒されるのかしらね」

「彼女には兄貴がいる。父親は他界している。僕には……そういう部分を求めているのかもしれない」

「いいじゃないの。甘えさせてあげたら」

「いや、恋人じゃあないんだよ、彼女は。ただのたとえ話さ」

「透はやさしいわ。慣れて遊んでいるフリばかりして、純粋なのね」

「君は気配り上手だけど、肝心なことにはなかなか気づかないタイプだったね」

「そんなことないわよ。透のおかげでブライアンと……そうそう、二人目できたみたいなの」


「随分と遠回しな報告だな」
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