キミイロ
「亮~!」
もうすぐ下駄箱に着くという時に
静かだった廊下に大きな声が響く。
振り向くと大須が鞄を持って走ってきていた。
「ねぇ亮。帰るんでしょぉ~?
瑞希もサボるから一緒に帰ろーよぉ。」
俺の所まで来ると甘ったるい声を出して
俺の腕に絡みつく。
『無理。離れろ。』
俺は絡みつく大須を引き剥がした。
「えぇー!いいじゃんかぁ~!
瑞希、亮と帰りたいんだもん♪」
大須は、そう言うと
引き剥がした腕をまた絡め、俺の腕に胸を押し付ける。
キツい香水の匂いと
甘ったるい喋り方に吐き気がする。
『絶対に無理だから。1人で帰れ。
じゃあな。』
大須を腕から引き剥がし
走って大須から逃げた。