月うさぎ
暖かな光に包まれて…
『いつも僕ばっかり怒るんだ!』

ケンタは2人兄弟のお兄ちゃん

お母さんに怒られ、自分の部屋に閉じこもった。


『きっと僕が嫌いなんだ!いつも僕ばっかりだ!弟だって同じ事やってんじゃん!』

そう思いながら、ベッドに潜り込んだ


しばらくすると、ケンタの背中をトントン…と誰かがたたいた

『…だれ…?』
ケンタはそぅっと覗いてみた
そこには真っ白なうさぎが立っていた

『えっ!うさぎだ!』
ケンタはびっくりした

『そんな所にいないでさぁ、僕と一緒においでよ』

『えぇ!うさぎがしゃべってる!』
ケンタは目を丸くした

驚いているケンタに、うさぎは笑いながらピョンピョン跳ねて行った

ケンタも思わず後を追いかけて行く


うさぎはどんどん進んで行った

森の中をどんどん進んで行くと、うさぎはピタッと止まった

その先にはキレイな湖があった

『こんな所に湖があったんだ…』

うさぎが言った
『この湖の水は、みんな悲しい時に流す涙なんだ!』

『えっ!…じゃぁ、悲しい湖なんだね…』
ケンタは淋しい気持ちになった


すると、空に満月が昇り一筋の暖かな光が射し、湖を照らし始めた

湖はキラキラ輝き、まるで宝石を散りばめたようだった

やがて湖の水は霧になり、ケンタや森を優しく包み込み、ケンタの気持ちまで穏やかにしてくれた


(あれっ!?…この感じ…)


『みんな辛かったり、悲しい事があると、この感じ…忘れちゃうんだ…ケンタは忘れずにいてくれる?』

『えっ!…ねぇ…この感じって、僕知ってる!お母さんに似てるんだ!』

『うん!ケンタを心配している人の暖かさだよ!
君は一人ぼっちじゃないからね!忘れないで…』


そう言ってうさぎは消えた

『ま、待って!!』


ケンタは目が覚めた!!

(あれっ??夢?…あっ!)


お母さんがケンタの側にいた


『どぅしたの?びっくりした顔して(笑)お腹すいたでしょっ。ご飯にしようね』

(僕、君の事、絶対に忘れないから!!)
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