あなたがいたという記憶
7時
私は羽田空港にいた。
行き先は北海道だ。
大きなキャスターバックを引きながらウロウロしていた。
集合場所は月の塔だったっけ…
どこだろう。
集合時間まではまだ時間がある。
「ちょっとぶらぶらしてようかな。」
私は余裕をこいて歩きだした。
「へぇ…コーラのお店なんかあるんだ。古いコーラの自動販売機なんて面白いな!!」
そんなこんなでぶらぶらしていたら、何時の間にか7時20分になっていた。
「そろそろ行かなきゃ…あれ?」
どうやって行けばいいんだろう…
さっきどこから来たっけ?
わかんない。
あれ!?
まさかあたし迷子!?
集合時間まではあと十分を切っている。
やばいやばいやばいやばい!!!!
とにかく走った。
間に合うかな…
「澤田さん?」
もしかして友達!?
最後の望みを込めて涙目でふりかえってみた。
知らない人だった。
「定期券、落としましたよ!」
だからあたしの名前が分かったのか。
「あ…ありがうございます…」
受け取って私はまた走りだした。
確か、地下一階だよね?
エスカレーターでおりた。
するとそこには華乃がいた。
安心で目から涙が溢れてきた。
「華乃~~っ!」
「あ、優おはよ…ってどうしたの!?なんで朝から泣いてんの笑」
「迷子になって怖かった~!!」
「地図みればよかったじゃん、ばーか!笑」
「あ…」
なるほど。
焦りすぎて忘れていた。
「一緒にいこ、華乃!」
元気を取り戻した私は華乃と歩きだした。