あなたがいたという記憶
無関係時代

始業から三週間。


みんなもう馴染んで、授業中もうるさくて怒られるのは日常になってきていた


一ヶ月後には修学旅行も控えている。

華乃と私は部屋割りのはなしをしていた。

「部屋割り一緒に組もうよ!」

「いいよー他に誰誘う?」

「いつものめんつで良くない?」

「そだね!じゃあ言いにいこー」

私たちの仲良しグループは七人組で、

美嘉、咲、真理子、祐奈、瑞希、華乃、そして私。

部屋は七人部屋だったのでちょうどよかった。


みんな同意してくれたので、部屋割りは決まった。

だけど…



「ねぇ…肝試し、どうする?」
私が華乃に聞くと、

「え、もうあたし決まったよ?笑」

「え、うそ!まじ!?誰!?」

「…佐々木くん。」

「がちでいってんの!?よかったじゃーん!!」

「てゆか、みんな決まってると思うけど笑」

「まじで!やばいやばいとりのこされた?」

「…譲司だね」

「…そうなる?」

「のこってるの、多分あいつと泰和だけだよ笑」

泰和は、みんなからの嫌われ者だ。

「絶対やだ!!」

「じゃあいけ!」

華乃は私を引っ張っていった。向かう先はもちろん、22番の机だ。

「え、ちょっとまて!心の準備まだ!」

抵抗も虚しく力尽くで私はあいつの目の前に立たされた。

諦めて私は話を切り出した

「あのー…高橋くん?」

うつぶせていた譲司がむくっと起き上がり、眠そうな目をこっちに向けた。

…怖い。

「あの、し、修学旅行の、き、肝試しのことなんだ、けど、回る人、とか、決まってる?」

切れ切れでそう問いかけた。

「…別に決まってないです。」

「あ、の、もしよかったら、あたしと一緒に組まない!?」

言い切った。

「…」
相手は黙ったままだった。
三十秒以上沈黙が続き、諦めて他の人を誘おうかと思った時だった。

「…いいすよ。」

…まじで?

「あ…ありがとう…じゃ、よろしくね…」

そう言って逃げるように机から離れた。


…なんでこんな無駄にドキドキしてるんだろ。

…顔が熱い。

なんなんだこれ。




もしかして…

あたし…譲司に…





「恋した?」
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