あなたがいたという記憶
「…んなわけない!!」

ガタッ!



あれ?何?

クラス中の視線がこちらに向いていた。

「清水さん。とりあえず座ろうか。」

国語の先生が冷たい声で私に命じた。

座る?

見てみると、私は椅子を蹴っ飛ばして立っていた。

「…すいません…」

小さな声で謝って椅子を戻して座った。

「さっきからずっとブツブツ言ってたけどどうかした?」

「え、なんか言ってた?」

どうやら寝ごとまで言っていたようだ。とんだ醜態をさらした。

「違うんだ~とか、あり得ない~とか、勘違いだーとか言ってた。しかも声でかかった。」

「うそ、恥ずかし。笑」

「で、なんの夢見てたの??」

「…忘れた。」

「はぁ?嘘つくな!真実を吐け!」

「本当に覚えてないんだって!でも…」

「でも?」

「…やっぱりなんでもない!!」

そう言って机に伏せた。


夢の内容は本当に覚えてない。


…でも


高橋くんが出てきていたのは確実だ。



そんなことを華乃に言ったら、


「それは好きなんだよ!譲司のことが!」

って言うに違いない。


あたしがあんな唐変木を好きに??


「絶対にない!!」



「清水さん静かに!」
先生に一喝された。



ほんと、あり得ない!

あいつとあたしはあくまでも無関係。



好きになるなんて絶対にない。


そう。無関係、無関係。

肝試し一緒に回るだけ。
ただ、それだけ。

それ以外は一切関わらん!!

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