瞳の奥をのぞかせて
「由吏!!」
「咲揮!どうして教えてくれなかったの?」
「ごめんね……小学校の頃に弥薇の名前で虐められた事があってね……」
「バカ!!私がそんな家柄で虐めると思ってたの!?私だって咲揮には言えなかったこといくつもあるけどそれでも虐めたりなんてしないよ!」
「由吏……ごめんね。」
「ううん。私ねあることがあって人を信じるのが苦手なんだ。でも初めて咲揮に会った日覚えてる?」
私が初めて咲揮に会った日は入学式だった。入学早々私ははぶかれていた。きっとみんな近づきにくかったんだろう。でも咲揮だけは話しかけてくれた。
゛あなたの髪型可愛いね!どうやったの?゛
「覚えてるよ。由吏なら仲良くなれるって思って勇気を出して声をかけた。」
「あの日勇気をだしてくれてありがとう。」
「ううん。で。私に言ってない事って?」
「あっ!……まぁいっか。私ね両親がいないんだ。5歳の時にお母さんが病気で死んじゃって1年と3ヶ月たってお父さんも死んじゃったの。お母さんが亡くなって疲れちゃったみたいでお父さんも病気になっちゃったの。二人とも居なくなってからは孤児院に居たけど16の時に嫌で抜け出したの。」