瞳の奥をのぞかせて
「そうだったんだ……辛かったね。」
「うん。でもお父さんとお母さんの二人の結婚指輪をネックレスにしていつもしているから。寂しくないよ。」
「君は強いね。」
「そんなことないですよ。強くならなきゃ生きていけなかったから。そうならざるおえなかったんです。」
「遥ちゃんとは大違いね。」
「何でだよ。」
「だって高層マンションの最上階に住んでて凄く家も広くてダブルベッドで寝てるくせに寂しいからって毛布抱えて寝てる28の男なんて嫌よ!」
「だって……寂しい……じゃんか。」
「弥薇局長って可愛い人なんですね。」
「どうせ鬼とか思ってたんだろ?」
「私は特に印象はありませんでした。だって会ったことありませんでしたから。」
「あー遥ちゃん驚いてる!」
「別に驚いてなんか……!」
「由吏!!遥ちゃんは可愛いんだよ!」
「商品開発局は楽しそうだね。」
「仕事になると遥ちゃんは厳しいけどね。」
「でも私仕事は厳しくって人スゴイと思うんだ。」
「どうして?」
「だってわざわざ嫌われ役に徹するんだよ?そういう人って本当は凄く優しい人なんだよね。」
「遥ちゃん優しいね。」
「なんだよ。咲揮がそんなこと言うなんて」