Love Side 
「あ、ありがとう大丈夫です。あ、」

パンプスのヒ-ルが折れてしまっていたようで、上手く足に力が入らない。


「タクシ-を呼びましょうか?」


「大丈夫です、近くに靴屋ありますか?」


「はい、ではそこまでお送りいたしましょう。」


あたしは、有無を言わせない毅然とした雰囲気にのまれ、

黙って頷いていた。


「萌香さん!!」

ハッと今置かれた状況に気づいた。


今、取引先の部長の息子とお見合中だったんだ。


「あの、ごめんなさい。私、それを戴けるほどあなたを知りませんので、

お断りさせてください。部長には、後ほどお詫びの電話をしますとお伝えください。」


あたしは、早口にまくしたてて、

親切なウエイタ-さんに肩を借りながら靴屋に向かった。





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