Love Side 
「綾波くん。たまにはあたしと食事なんてどう?」

会議室に残って片付けを手伝ってくれた、

新入社員に軽い気持ちで声を掛けた。

「あなたはえ-と、総務部のマドンナさんでしたね。」

「それやめて、串枝萌香です。」

「失礼しました。串枝先輩。

 あの、おごりですか?ならごちそうになります。」

「いいわよ。」


これが、あいつとの最初の会話だった。


春日は、近くの定食やを指定し、

カツ丼の大盛りをたのんだ。

わたしは、日替わり定食を頼んだが、

箸が進まなかった。


なぜなら、春日の食べる勢いに圧倒されたから。

「ふ~満足。ここんとこ金欠でコンビニの半額弁当しか食ってなかったから。

 串枝先輩ごちそうさまです。

 あれ、先輩食べないんですか?」


「あ、よかったらどうぞ。あなたの食べっぷりに圧倒されちゃったわ。」


「ラッキ-いいただき。」


皿にのった唐揚げ2つが、

器用そうな長い指につまみ上げられ、口に運ばれた。


「うまいっす。」

満面の笑みで頬張る顔を

かわいいと思った。

あたしの周りに居ないタイプの男だった。



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