Love Side 
「もっと、根本的なことを説明しないと理解して貰えないと思います。


 ただ、申し訳ないのですが、私は、あなたを信じるべき人なのか図れないの

 
 で、此処までしかお話できません。」



「あたしが、春日に付き合わないでくれと言ったら?」


「それで、彼がそうしたいなら仕方ないと思います。」


綺麗な顔のかれは、表情も変えずにあたしに、


<それができるの?>とでも言いたそうだった。


全てを知っている気になってたあたしは彼のほんの少しの部分しか知らなかった


んだということが分かった。


春日の多くの部分は彼らとともに今もあるのだとも思い知らされた。


ああ、あたしはあの時、結城郁人のなまえを口にしてはイケなかったんだ。


春日がやっと架けた橋の土台を、たった一言で崩してしまったのだ。


春日はもう橋を渡ってくることはない。そんな気がした。


彼の心はもう戻らない。


そんな予感はすぐに現実のものとなってしまう。
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