Love Side 
「開発はどうですか?」

食前酒を飲みながら係長は話しだした。

どうやら、新しい部署に移ったあたしを心配してくれたのだ。

「まだ引き継ぎの段階で、でも

 一人でやらなくてはならないから大変です。

 新入社員が入るので、それまでの我慢ですが、

 すぐ戦力にはならないでしょうし、

 でも、係長に推薦していただいたんですから精一杯頑張ります。」


「忙しいようだね?少しは気持ちがまぎれたかな?」

係長は、春日とのいわゆる修羅場に何度も遭遇している。

社内で、春日とあたしとの関係を知っていた数少ない人の一人だ。

その都度、迷惑を掛けてしまっているのに、黙っていてくれていた。

3年も同じ部署で働いていたけれど、

こんなに思慮深く優しい人だったとは気づかなかった。

自分の容姿に集まる視線を計算して引き付けて、いいように扱っていた。

仕事に対しても惰性で続けただけで情熱もなかった。

でも、春日と付き合いだしてから、私は付きものが落ちたように

回りを見るようになったし、仕事に対しても積極的になった。

春日に似合う自分になりたいと必死だった。

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