葵先輩は冷たい。





ねえ、先輩。

もしあたしが葵先輩に100の愛を注いだのなら、その内のいくつを先輩は返してくれますか?


いつになったら…

あたしを彼女として、愛してくれますか?


どんなに葵先輩を見つめ続けたって、目が合うことはない。


それは…
葵先輩があたしを見ないから。


それくらい、先輩の中ではちっぽけな存在なんでしょうね。




「あ、莉子ちゃん。
そろそろ始まるみたい。」


前の方に行こうか。

そう付け足して、あたしの手を引く神谷先輩。


だけど…

「ここでいいです。」


あたしはそれを拒絶した。


本当は近くに行きたいよ。
でも… きっと葵先輩はいい顔しないだろうから。


下唇をぎゅっと噛み締めて、
あたしは俯いた。


< 10 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop