葵先輩は冷たい。
ねえ、先輩。
もしあたしが葵先輩に100の愛を注いだのなら、その内のいくつを先輩は返してくれますか?
いつになったら…
あたしを彼女として、愛してくれますか?
どんなに葵先輩を見つめ続けたって、目が合うことはない。
それは…
葵先輩があたしを見ないから。
それくらい、先輩の中ではちっぽけな存在なんでしょうね。
「あ、莉子ちゃん。
そろそろ始まるみたい。」
前の方に行こうか。
そう付け足して、あたしの手を引く神谷先輩。
だけど…
「ここでいいです。」
あたしはそれを拒絶した。
本当は近くに行きたいよ。
でも… きっと葵先輩はいい顔しないだろうから。
下唇をぎゅっと噛み締めて、
あたしは俯いた。