葵先輩は冷たい。
《 2年前ー 》
あたしがまだ中学2年生の時だった。
地元の西中に通っていたあたしは、当時… 今よりも愛に飢えていて。そして何より荒んでいた。
暴力とか。犯罪とか。
そうゆうことに手を染めていたわけでもないし、不良と呼ばれるようなことをしていたわけでもない。
ただ、どこかネジが1本外れたように… 人間に大切な感情というものが欠如していた。
嬉しい、とか。
哀しい、とか。
"人間らしさ"があたしにはなかった。
偽善に囲まれた世界で、どうやらあたしは信じる心というものを失ったらしい。 全てが虚像に過ぎないと、生意気にもそう思っていた。
友達も。家族も。先生も。
所詮薄っぺらい関係で。
自分にとって不利益になると簡単に手の平返したように裏切れる、そんな都合のいい存在だ。
信じられるのは自分だけ。
他は、要らないモノだった。