葵先輩は冷たい。



泣きそうになるのを堪えながら、
あたしはへらりと笑った。


面倒な女だと思われたくない。
葵先輩に…捨てられたくない。



嫌いでもいいです。
彼女として傍に置いてくれれば。


それくらい、大好きだから。


葵先輩はきっと覚えていないけれど、葵先輩はあたしの恩人でもある。


だから…

たとえどんなに冷たくされても、あたしが葵先輩を嫌いになることはない。


嫌いになりたくても、
なれないんだよ…… 先輩。


いっそ、嫌いにでもなれたらどんなに楽なんでしょう。


そうしたら… こんなことで苦しまずに済んだのに。



< 5 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop