蒼穹の誘惑
「はぁ……ダル……」

みずきはソファーの上で重い身体を起こせずにいた。

ソファーの下にはディオールのジャケットがくしゃくしゃに脱ぎ捨てられ、みずきお気に入りのセルジオロッシのパンプスが散乱していた。

「大丈夫ですか?休んでいる暇などありませんよ?」

高宮は何事も無かったように衣服の乱れを直し、いつものポーカーフェイスでパソコンデスクの前に座っている。

つい先刻までみずきの身体をその熱い杭で何度も貫き、この社長室を熱い吐息で埋め尽くしていたというのに。

「あなたって本当にムカつく男ね!」

「自分で蒔いたなんとかってヤツでしょう?あなたはイキすぎです」

「なっ……あなたが……」

あなたが激しすぎるからでしょ、と口に出して言いそうになりみずきは思い留まった。それなら自分の性欲を何とかしろと言われるのが関の山だ。



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