蒼穹の誘惑
仕事も手につかず、ただ茫然とソファの上に横になっていると、突然オフィスのドアが開かれた。
条件反射で上体を起こすが、入室してきた人物を捕らえると、浅野の身体に一気に緊張が走る。
「こんな時間から昼寝か?いい身分だな」
「-----」
勝者のみが有する他を圧倒するようなオーラに、浅野の背筋はゾクリとなる。
浅野は緊張で強張った脚に力を入れ立ち上がる。
「お久ぶりです……お父さん」
軽く頭を下げ、視線を合わせるが、その鋭さに生唾を呑む。
「何かご用件でも?」
「用件?とぼけるつもりか?」
「-----何のことでしょう?」
浅野は父の意図していることがわからず、閉口してしまう。
今まで父がこのオフィスを訪れたことは一度もない。
浅野の父は、ホテル王とも不動産王と呼ばれ、タイムズ紙には、「日本のスティーブン・ウィン」とも賞賛された、知る人ぞ知るインターステイトカンパニーのCEO、篠田和正である。
ニューヨークを拠点とし、67歳にして未だ世界を股にかけて飛び回っている。こんな小さなオフィスにわざわざ出向いてくる時間などないはず。
条件反射で上体を起こすが、入室してきた人物を捕らえると、浅野の身体に一気に緊張が走る。
「こんな時間から昼寝か?いい身分だな」
「-----」
勝者のみが有する他を圧倒するようなオーラに、浅野の背筋はゾクリとなる。
浅野は緊張で強張った脚に力を入れ立ち上がる。
「お久ぶりです……お父さん」
軽く頭を下げ、視線を合わせるが、その鋭さに生唾を呑む。
「何かご用件でも?」
「用件?とぼけるつもりか?」
「-----何のことでしょう?」
浅野は父の意図していることがわからず、閉口してしまう。
今まで父がこのオフィスを訪れたことは一度もない。
浅野の父は、ホテル王とも不動産王と呼ばれ、タイムズ紙には、「日本のスティーブン・ウィン」とも賞賛された、知る人ぞ知るインターステイトカンパニーのCEO、篠田和正である。
ニューヨークを拠点とし、67歳にして未だ世界を股にかけて飛び回っている。こんな小さなオフィスにわざわざ出向いてくる時間などないはず。