蒼穹の誘惑
写真を持つみずきの手は怒りに震え、言葉を発することができない。

「ショックですか?誰かがあなたを陥れようとしている。心当たりはありますよね?」

心当たりは、ある。

この写真を送ったのは、おそらく副社長か、高宮----

「予想は、つくわ……」

「これを送った主は、僕が嫉妬に狂い、契約を破棄するとでも思ったのですかね?」

「浅野君……」

「別にいいんです、あなたが過去に誰とデートしようが、寝ようが……あなたの心はこの写真のどの男性にもないから。正直この写真に写る男たちにも嫉妬します。これを受け取ったときは、すごく腹が立ちました。だけどそれ以上にショックだったのは……」

「にも?」 浅野は何を言いたいのだろうか、みずきが困惑に浅野を見上げれば、彼の顔は苦しそうに歪んでいた。

「このピアス、忘れていかれましたよね?」

テーブルに置かれたそれは、みずきが無くしたブルーサファイアのピアス。

「それと-----」

それと何が関係あるのだ、と不可解な表情を浮かべれば、浅野は悲しく笑った。



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