蒼穹の誘惑
「……っ……」

苦しさと恐怖に身体が硬直し、抵抗できない。

「クス……そんな顔しないで。大丈夫、殺しませんよ。僕はあなたを愛していますから」

浅野はみずきの首を片手で締めながら、その唇に優しくキスを落とす。

「みずきさん、苦しいですか?僕が恐ろしいですか?」

浅野は角度を変えて何度もキスを繰り返す。

みずきが苦しさに唇を震わせれば、その唇を食むように吸い付く。

意識が薄れかけてきたとき、浅野はその手を離した。

「-----ゲホッ、ゲホッ……っ……」

絞められていた喉から一気に酸素が入り込み、みずきはその苦しさに咽かえる。

浅野から逃れようと、起き上がろうとして、そのまま倒れるようにテーブルの上から落ちた。

「……っ……」

思いっきり全身を打つが、恐怖から痛みすら感じない。



< 208 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop