蒼穹の誘惑
「…………っ」

「ウィストン・マイクロテクノロジー・コーポレーション。この会社、もう気付いたんですか?流石ですね」

「知っているの……?」

「知っているも何も……まぁ、いくら調べても無駄なことです」

「どう、いう意味?」

みずきの瞳が困惑に揺れる。締め上げられている腕の痛みよりも、先ほどのゾクリとした嫌な感覚が蘇る。

「この会社は資金運営用のダミーです」

「何ですって……!?」

「実際存在する会社ですからダミーと言うと語弊がありますね。事実上機能はしていませんが」

「資金運営……何の為、に?」

一抹の不安にみずきの声が細くなる。

「子会社だと親会社の株の購入はできませんからね。別の目的で運用していましたが、少し役に立ちそうです」

「あなたの目的は何なの?ただ副社長側についているわけではなさそうね……」

「正直に言うとでも?言ったでしょう、あなたにできることはもう何もないと」

「そんなこと、まだ分からないわっ」

キッと高宮を睨み上げるが、彼はみずきの腕を更に締め上げた。

「うぁ……っ」

苦痛に顔を歪めるみずきに高宮は更に追い打ちをかける。



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