蒼穹の誘惑
「申し訳ありません。どうしても確認したいことがあり、お電話させていただいきました」

みずきとは対称的に、高宮は至って事務的に話を進める。

「確認って何?」

「あれ以来、幸子様から何かご連絡はありましたか?」

「叔母、から?」

「はい」

予想外のことを尋ねられ、治まりの悪かった心臓が静かになる。

「いいえ、叔母にはニューヨークに戻ることを電話で伝えたけど、それだけだわ。ランチに誘われたけど、叔父のことを愚痴りそうだし、時間がないと断ったわ。叔母には罪はないもの」

「そうですか----」

「高宮君、何があったの?」

「いえ、これと言って別に……」

「叔母の2%の持ち株のこと?それとも西園寺の家が何か言ってきたの?」

「今は言えません」

「今は、って……どうせもう会わないじゃない」

そう自分で言い切りながらも、もう会えないという現実に胸が苦しくなった。



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