蒼穹の誘惑
一通り高宮の説明が終わり、書類に目を通していたみずきは高宮のまとめた浅野のプロフィールを見て驚いた。

「えっ？浅野君ってまだ２６歳なの？学生のときに会社を立ち上げたのは知っていたけど、若いのね」

「そうですね、ＩＴ業界でも珍しいと思いますよ」


（イマドキのＩＴ社長ってノータイが多いのよね……もっとカジュアルな服装にした方が良かったかしら？）


プロフィール写真を片手に、みずきはお見合いにでも行くようだ。そんな彼女の様子に、高宮は呆れた視線を寄越す。

「何よ？何か言いたいことあるの？」

「クス……別に何も？」

「バカにして……どうせ私のことを中身のない頭の悪い女だと思っているんでしょ？」

みずきの声のトーンが自然と低くなる。

「あなたたちが望む『我ままなお嬢さん社長』を演じてあげてるんじゃない？」

「そうですか？私はあなたが中身がないとは思いませんよ？頭も悪くない」

高宮は視線を反らすみずきの顎をとらえ、その鋭い双眸でじっと見つめた。

みずきの胸がトクンと小さく鳴る。
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