蒼穹の誘惑
みずきは、飛行機には乗っていなかった-----

おそらく、送られてきたこの写真は本物だろう。

写真のみずきは、手足を拘束され、口には今日の日付の新聞が咥えさせられていた。

この写真の撮り方もそうだが、電話の対応からして、かなり手馴れている。

相手は、明確な目的の元に、計画的に動いている。

身代金目的の誘拐か-----

いや、それなら、高宮の個人的番号にかけてくるのはおかしい。

やはり-----

再度送られてきた写真を開く。

抵抗したのだろう、よく見ると、みずきの頬は殴られたように赤く腫れ、口元は切れ血がにじんでいる。

テキストメッセージには、電話で告げた住所まで一人で来いと書かれていた。

一度収めた怒りがまたこみ上げてくるのを感じる。

何故こんなに憤りを感じるのか高宮自身わからない。

みずきがどうなろうと自分が気にすることではない。

恐らく、自分が動かなくとも、みずきにひどい害を加えることはないだろう。みずきを拘束する意味がなくなれば、彼女は解放されるはず。



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