蒼穹の誘惑
「また、あなたの悪い癖ですか?ご自由にどうぞ?」


(ふ~ん……顔色ひとつ変えないんだから)


「ああ、前回のように後で迎えに来いと電話するのはやめてくださいね?」

「しないわよ!!」

「もうすぐ着きます、社長」

ばかばかしい会話にはつきあっていられないといった面持ちで高宮は話を変える。

「社長、資料はこのファイルに入っています」

「あっそ。どうせあなたも同行するんだから説明しなくてもいいわよ」

「全くあなたは……よく聞いてください」

高宮は急にみずきの両腕を押さえ、冷たく言い放つ。

「くれぐれも軽率な行動はなさらないように……」

「どういう意味よっ?手を離して!」

高宮は氷のような微笑をたたえ、みずきを見据えた。


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