蒼穹の誘惑
「いい眺めだ」

仁科は、引き裂かれたワンピースをいっきに下まで引きちぎる。

後ろで大男がごくんと唾を飲むのがわかり、今から自分が何をされようとしているのか瞬時に悟った。

「これでも、サインはできないと?」

仁科の指は、胸元の傷をぐいと押したかと思うと、そのままみずきの胸を鷲掴みにした。

「……っ……」

「最高の身体だな」

獲物をしとめようとみずきの身体を眺めるが、その瞳の奥には欲望の欠片も見えない。

まだ、欲情してくれた方がマシだったかもしれない。

この男は、目的を達成する為だけに、何の感情もなしに自分を辱めるだろう。

恐怖に声が出なくなるのは初めてかもしれない。

仁科の手が、下肢に伸び、膝割られる。

「あんたは、どこまで抵抗できるかな?」

無造作に下着に手をかけられたかと思うと、一気に引きずりおろされた。

布が肌を擦る痛みに身体が仰け反り、みずきはか細い悲鳴を上げた。



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