蒼穹の誘惑
「や、やめて……わかったから……」

「何がわかったんだ?」

ぐいっと脚を大きく開かされ、腹部にナイフをあてられる。仁科はそれをゆっくり恥骨の辺りまで下した。

「綺麗な肌だなぁ?だが、皮を剥いでしまえばみんな同じだ」

身体が硬直し、声を出そうにも、恐怖に声帯が震える。

「サ、サイン……サインするからっ……」

悲痛な声でそう叫ぶと、仁科は、ナイフを胸ポケットにしまい、にっこりとほほ笑んだ。

ぐったりとする身体を起こされ、書類とペンを渡される。

恐怖と悔しさに、手が震える。

やっとの思いでサインすると、朱肉を横に置かれた。

「署名の横に拇印を押せ」

言われたままに親指を押すと、仁科は薄く笑った。

「気が強いのはいいが、時と場合によるということを覚えた方がいいな。いい人生勉強になっただろう、お嬢さん?」

最早反論する気力もなく、みずきは、ただ茫然とその場に蹲った。


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