幼き神は涙さえ演じて
ロンドンで生きるには彼を通して
扉の前に立つ青年を目に、金髪をかきあげ男は溜息を落とした。
「何度も言いますが、当店は完全予約制になっておりまして…一般の方の入店は固くお断りしています。早急にお引き取りください」
人通りの多い首都(ロンドン)の街の中心にドールハウスの様な店が一つ立っている。
喫茶店かファンシーショップにも見えるが、
店の扉にはフランス語で
『Un système de la réservation complet(完全予約制)』
と記された札がかけられていた。
店内には黒を基調としたゴシックロリータ服の女店員らしき人が数名、タキシードの店員らしき男が数名と、客らしき男女が二人いるだけだった。
