幼き神は涙さえ演じて

 席の一番後ろに座り、少年は被っていた帽子を置いた。

 銀の髪が揺れ、あぁ、やっぱりサガミくんだとシスターを安心させる。

 「サガミくん。祈りの言葉を覚える気になった?」

 
 教会に通うくせに、祈りの言葉を覚えようとしない少年、茶神にシスターマリーは隣に座って微笑んだ。

 「…少し、時間をおきましょうか」

 何も言わず、前を向き動かない茶神にマリーは気を聞かせて立ち上がった。


 
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