幼き神は涙さえ演じて

 「僕は白に触れてはいけないんだよ、シスターマリー」

 12歳の少年が持つには、黒すぎる心にマリーは震えた。

 いけない。そう思ったのは、茶神を救いたかったから。

 彼を救うことを彼自身が諦めてはいけない。

 マリーは握った茶神の手に力を込めた。

 「ど、うして」

 言葉は、思いとは反対に、酷くたどたどしかった。


 
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