幼き神は涙さえ演じて

 「…わた、私が…っサガミくんの幸せのためにっ、サガミくんの全てをために、祈るわっ」

 普段なら絶対に言わない、陳腐な言葉だった。

 救うなどいえない。

 その術を知らないのだから。

 守るなどいえない。

 その術を知らないのだから。

 助けたいと願えば願うほど、無力を実感させられた。

 
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