幼き神は涙さえ演じて

 いっそ、助けて。とすがってくれればいい。

 そうすれば彼を、幼い彼の体を抱いて眠るのに。

 いっそ、罰を。と乞うてくれればいい。

 そうなれば、罪深い彼を抱きしめてあげられるのに。

 いっそ、許しを。と泣いてくれればいい。

 そうすれば、共に泣き、彼を許すことが出来るのに。

 だけど、茶神は、そのどれもを望んでいない。

 許しも、救いも、何一つ望まず、願わず。

 マリーの前で、神を慕うシスターの前で、自身の汚さを受け止め一人蹲る。

 滑稽なのは、寧ろ私(マリー)だ。

 汚らわしきは、私だ。

 マリーは結局、悪を語る茶神を前に何も出来ないのだ。

 
< 53 / 100 >

この作品をシェア

pagetop