刹コイ
根拠のない衝動と焦りに急かされながら、私は屋上についた。
ドアに耳をつけ、神経を研ぎ澄ます

「湯川も随分変わったことするね」
「…は?」
「もう忘れたんだ?」
「何をだよ?」
「それとも?気を紛らせる為?…もしくは」
「もしくは…?」
「さあ?どうだろうね?」「あのさあ、原田に俺の何が分かるわけ?」
「何?そんなこと言える立場にいると思ってんの?」「立場とかじゃねーよ、お前こそ、んな事言える立場にねーだろ」

いつもと全然違う湯川の声に背筋が冷たくなる
原田さんもいつもの大人しさは何処に行ったのか

「とにかく、俺たちはもう関係ない。これ以上俺に関わるな。失せろ。」
「あんたもあのコと一緒だよ。」
「うるせぇっつってんだろ」
「重さが違うだけで人を傷つけたのに変わりない」
「…うるっせぇな。調子のんな、ブス。俺はお前なんか大っ嫌いなんだよ」
「…そうやって逃げて。」

原田さんの声色がすこし上ずっている
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