雛結び
夜美から顔を離そうとすると、嫌と言うかのように締め付けが厳しくなる。胸元から私を離さないと言う感じだ。状況としては、夜美が両手で胸元に抱きとめて、頭を撫でたり、髪をいじったりしているみたいだ。何だか恥ずかしい、自分の頬が紅くなるのを感じる。
「夜美、起きてるの?ちょ、ちょっと離して」
夜美が何らかの意思を持って、私を胸元から話さないでいると思われたので、そのままの体勢で夜美に声をかける。
「ヤダ」
夜美からは一言しか返って来なかった。何か怒っているようにも聞こえる。締め付けもより一層厳しくなった感じがする。
「やだって、どうしたの夜美。何か、怒ってる?」
声のトーンで怒っているのは感じ取れるけど、怒られている理由が解らない。これは、ちゃんと話を聞いて、私のお姫さまのお怒りを沈めないといけないと思った。
状況的には別に嬉しいのだけれども。
「怒ってる」
怒ってる割には嬉しそうな感じも混じっているのだけど、きっと私にしか解らないレベルだとは思う。
「ええと、すいません夜美様」
「何に対して謝って、いるのかな?」
ちょっとだけ声のトーンが怖くなった。いや、可愛さは変わらないけれども。
たまに夜美の機嫌を損ねることはあるけれども、これはいつも以上かも知れない。ここは素直になり夜美にちゃんと話して貰った方が良さそうだ。
「ごめんなさい、解りません。教えて下さい夜美様」
そう言えば、夜美様何て言ったの何年ぶりだろう。
「よろしい、とにかくね、最近の彩月はおかしい。今月半ば、そうバレンタインぐらいから何か拗ねていると言うか、可愛くない感じ」
夜美に彩月って呼ばれるのも、何年ぶりな気がする。
「加えて、たまに私の前でも寂しそうな顔をする。何かあったの?その、時期的にも、し、失恋とか」
最後は妙にトーンの上がった声になっていた。ああ、これはもう正直に言うしか無いかなあ。
私は意を決する事にする。夜美を不安にさせるぐらいなら正直に言った方が良い。
少しの沈黙の間、白い欠片の音だけが二人を包む。次に口を開いたのは二人同時だった。
「前に行ってた部活の先輩と何かあった?」
「夜美にだよ」
ん?誰だって?また同時に口を開く。
「私?!誰が私に?!」
「部活の先輩って誰のこと?」
そこまで答えないといけないと。
「音無先輩」
「私が夜美に」
「夜美、起きてるの?ちょ、ちょっと離して」
夜美が何らかの意思を持って、私を胸元から話さないでいると思われたので、そのままの体勢で夜美に声をかける。
「ヤダ」
夜美からは一言しか返って来なかった。何か怒っているようにも聞こえる。締め付けもより一層厳しくなった感じがする。
「やだって、どうしたの夜美。何か、怒ってる?」
声のトーンで怒っているのは感じ取れるけど、怒られている理由が解らない。これは、ちゃんと話を聞いて、私のお姫さまのお怒りを沈めないといけないと思った。
状況的には別に嬉しいのだけれども。
「怒ってる」
怒ってる割には嬉しそうな感じも混じっているのだけど、きっと私にしか解らないレベルだとは思う。
「ええと、すいません夜美様」
「何に対して謝って、いるのかな?」
ちょっとだけ声のトーンが怖くなった。いや、可愛さは変わらないけれども。
たまに夜美の機嫌を損ねることはあるけれども、これはいつも以上かも知れない。ここは素直になり夜美にちゃんと話して貰った方が良さそうだ。
「ごめんなさい、解りません。教えて下さい夜美様」
そう言えば、夜美様何て言ったの何年ぶりだろう。
「よろしい、とにかくね、最近の彩月はおかしい。今月半ば、そうバレンタインぐらいから何か拗ねていると言うか、可愛くない感じ」
夜美に彩月って呼ばれるのも、何年ぶりな気がする。
「加えて、たまに私の前でも寂しそうな顔をする。何かあったの?その、時期的にも、し、失恋とか」
最後は妙にトーンの上がった声になっていた。ああ、これはもう正直に言うしか無いかなあ。
私は意を決する事にする。夜美を不安にさせるぐらいなら正直に言った方が良い。
少しの沈黙の間、白い欠片の音だけが二人を包む。次に口を開いたのは二人同時だった。
「前に行ってた部活の先輩と何かあった?」
「夜美にだよ」
ん?誰だって?また同時に口を開く。
「私?!誰が私に?!」
「部活の先輩って誰のこと?」
そこまで答えないといけないと。
「音無先輩」
「私が夜美に」