魔王
と、改めて人形を見た悠楽だが、ここであることに気がついた。

「…工藤さん工藤さん。この人形の顔だけどもさ」

「はい?何でしょう先生」

「あの…これ、もしかして俺の顔?」

その人形は目のつり具合、口元など器用に作られている。

そしてそれは…、悠楽の顔にどことなく似ていた。

「あ、わかりました!?良かったー。顔に特徴がある人の方がわかり易くていいかなーと思って!」

「俺は良くねーんだよ!ちゃんと本人に許可取ってから作れ!」

思わず叫んだ悠楽だが、それに反応した生徒が集まってきてしまった。

こうなるともう、いじり倒さないと気が済まないのが3-5である。

「え、何何?工藤お前、先生呪おうとしてたの!?」

「とすると工藤さんは魔王を倒そうとする勇者なのでしょうか?」

「呪いの力で魔王を倒そ~とする勇者とか、聞いた事ね~よ」

「バッカお前、ドミクエの次回作は主人公の得意技が呪い殺しらしいぜ」

「それはネット発のデマだよ。正統派RPGのドミクエがそんな設定作る訳無いじゃん」

「っていうか私、別に呪い殺そうとしてないから。作り易い顔を考えてたら先生の顔が真っ先に思いついただけよ。呪いなんてあるわけがない」


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