魔王
これ以上話すと絶対に手が出ると自分で判断した悠楽は、教卓に戻ろうとする。

が、彼の背を呼び止める声が複数上がった。

「ちょっと先生、まだ質問に答えてないじゃないですか。わからないからって逃げるんですか!?」

「先生魔王っぽい髪型ってどんなのですか?」

「掛け算九九がわかりません」

「『平方根』ってなんて読むんですか?」

「スライムとスライムベスってどっちが可愛いと思います?」

「断然メタルスライムだろ~」

「貴方に聞いてないから、先生に聞いてるから。魔王としての意見を聞きたいの私は」

授業中にする質問ではない質問が飛び交うクラス内。

それに遂に決心がついたのか、悠楽は振り返るとクラス中に言い放った。

「うるさいぞお前ら、教科書の問題をやれって言ってんだろ!本気で生贄にすっぞ!」


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