魔王
再び教室内。
大部分の生徒は給食を食べ終わり、級友と雑談を交わしていた。
「やっぱり~丑の刻参りはやっちゃまずいと思うぜ~?俺は」
「なんで?どうせ呪いなんて存在しないもの。だったら同じ事でしょう?」
どうやら龍と香奈が話しているようだ。
周りの生徒は、それぞれ別の生徒と話していて、二人の会話に敢えて口を挟んでくる者はいなかった。
「いや…そういうのじゃなくてさ~、やられた側としては~あんまりいい気分じゃないよ、ね~?みたいな」
「バレなきゃいいじゃない」
「いや、もうバレてるしっていうかお前、自分でバラしてたよね~?」
心なしか、龍の目線が泳いでいる。
それもその筈、香奈の目が射抜くように鋭く、龍に向けられていたのだから。
恐くて直視できない、というのが本音だろう。
「なあ?やっぱそうだよな~森岡?」
「えッ、…いきなり振られても…」
苦しみの果てに近くにいた千鶴にムチャブリをかます龍。
が、当然振られた方は答えられる筈もなく。
それがムチャブリというものだ。