魔王
四、
時は変わって、放課後の3年5組。
皆、残り少なくなった部活動に懸命に打ち込んでおり、教室内には誰も見当たらない。
無人の場所特有のなんとも言えない空気が漂い、数時間前とは打って変わって静けさと寂しさに包まれていた。
と、ここでいきなりドアが開き、一人の生徒が急いでいる様子で入ってくる。
駆け込んできた生徒は、森岡千鶴だった。
部活動の最中なので、その身にはユニフォームを纏っている。
どうやらユニフォームからして陸上部のようだ。
千鶴は自分のロッカーの前にしゃがむと、何かを探し始める。
三秒程手で探ると目当ての物が見つかったようだ。一枚のタオルを取り出すことに成功した。
一番お気に入りのタオルで、運動をする時にはかかせない物だ。
そのタオルを見て…、千鶴は目を見開く。
「……」
そのタオルにはーー、