魔王

「『なんとかしてやる』…？笑わせないで。先生に何ができると言うんですか。せいぜい間に立って、仮初めの謝罪をさせる程度じゃないんですか。関わらないで下さい。ややこしくなるだけです」

一度に言い切った。

感情をぶつけ、息を荒くしている。

対する悠楽はーー、少しだけ残念そうな顔を見せるがすぐに消し、言った。

「そう、か。それがお前の意志なら俺の出る幕は無いな。まあ気が変わったら声をかけてくれよ。…待ってるぜ」

そう言い残すと彼は教室を出た。

ドアが閉まり、再び千鶴は一人になる。

一気に力が抜け、その場に座り込んだ。

するとまた涙が溢れてくる。

しゃくりあげながらタオルを見ると、やはりそこには油性ペンで汚い言葉が汚い文字で書き殴られていた。

そして…一言呟く。

「なんで…」

と。