魔王

同じ時。

廊下には肩を落とす人影が。

「な・に・が『待ってるぜ』だよ恥ずかしい台詞吐きやがって…ああもう、どう説明したもんかな」

自分で自分の言動を責めている。

悠楽は悠楽なりに悩んでいた。

「半分予想してたとはいえ…あんな睨み方されるとは…。あいつ、あんなキャラだったっけ…?なんかもっとこう…おしとやかな感じじゃなかったっけ…俺の理解不足だとでも言うつもりか?」

極限まで小さくした声でぶつぶつ呟きながら、階段を一段降りる。

気が重い。

足取りも重い。

頭も重い。

「やべえ…重い…。重力20倍になったんじゃねーのっつうか…」

そこで彼は足を止める。

視界の端に何かが映った気がする。

「……」

不審に思い、確かめるべくそちらの方へ足を向けた。

< 27 / 37 >

この作品をシェア

pagetop