魔王
同じ時。
廊下には肩を落とす人影が。
「な・に・が『待ってるぜ』だよ恥ずかしい台詞吐きやがって…ああもう、どう説明したもんかな」
自分で自分の言動を責めている。
悠楽は悠楽なりに悩んでいた。
「半分予想してたとはいえ…あんな睨み方されるとは…。あいつ、あんなキャラだったっけ…?なんかもっとこう…おしとやかな感じじゃなかったっけ…俺の理解不足だとでも言うつもりか?」
極限まで小さくした声でぶつぶつ呟きながら、階段を一段降りる。
気が重い。
足取りも重い。
頭も重い。
「やべえ…重い…。重力20倍になったんじゃねーのっつうか…」
そこで彼は足を止める。
視界の端に何かが映った気がする。
「……」
不審に思い、確かめるべくそちらの方へ足を向けた。