魔王
彼は学校から10km程度離れた自宅に両親と一緒に住んでいる。

結婚もしていないし彼女もいないし割と便利な場所に実家がある為、まだとりあえず同居している状態だ。

だが家事全般ができない訳ではないので、『出ていけこの馬鹿息子!!』というような事を言われても殆ど問題はない。

「何で電車で来ちまったかな…もっとカルシウム取っとかないとか。キレないように。畜生歩くのたりぃヒッチハイクでもするか?いや運転手さんに『どこの組ですか?』とか聞かれたりして…。『3年5組です』とでも言うか…?」

延々と気味の悪い程独り言を吐き続ける。

その内容からして疲れている様子だ。

とぼとぼという表現が似合う足取りで、大通りから人気の無い住宅地へ踏み込む。

先程とは違い、明かりになるものは街灯と民家から漏れる光くらいしか無い。

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